アッシュ/オイル/エンジンオイル/ポリマーと添加剤/ベースオイル種類と特徴/ベースオイル劣化のメカニズム


 ■読めばあなたもオイル通。カトちんのオイルの基礎講座です
     〜かなりの長文だから気合をいれて読んでくださいね〜


おまけその1・・・『ポリマーと添加剤の違いについて
おまけその2・・・『ベースオイルの種類と特徴』
おまけその3・・・『ベースオイルの劣化のメカニズム 〜なぜオイルは劣化するのか〜

まず、製造元の(有)ジェイシーディプロダクツの社長さん、岸野さんにお会いした時に感じた
”こだわり”に感銘を受けた。
オイル博士”と呼ばれるぐらいに聡明で言い方を変えれば”オイルオタク”の頂点?にいる人のようだった。
(紹介してくれた高見さんも充分、オタクデスが・・・笑)

それは岸野さんが書いているコラムを読んでもらうと納得できると思う。
エンジンにとって、人間にたとえるなら「血液」と呼べるオイルに興味のある方は是非呼んでみて欲しい。
きっとオイルに対する考え方が変わるかも知れない・・・。

製作/JCD PRODUCTS INC.
監修/JCD PRODUCTS INC. 代表取締役 岸野 修

『ロングライフ・エンジンオイル

アッシュ/オイルを皆様に理解していただく為に、オイル基礎講座を開設したいと思います。
まず、エンジンにとっては絶対必要不可欠のエンジンオイルですが、世の中にはいろいろな銘柄のオイルがリリースされています。
しかも最近は粘度のバリエーションも拡大してきていて、燃費追求型からハードチューニング対応型まで、エンジンオイルと一口に言っても使用するエンジンのタイプ(シングル,ツイン,マルチ,並列,V型,水平対抗,空冷,水冷,油冷,etc)や車,オートバイの用途によって選択技は様々。

でも、数ある多くのオイルの中から、自分のクルマやオートバイにピッタリのオイルを選び、定期的な交換や管理をマメに行う事がエンジンとって一番の愛情表現ではないでしょうか?
さらに、エンジン性能を最大限に引き出すためには、良質なエンジンオイルが絶対に必要になってきます。
一番身近で実は知れば知るほど奥の深いエンジンオイル、ココではアッシュオイル生みの親、開発者のJCDプロダクツ代表、岸野 修さんに、話を伺ってみました。


今回のテーマはここ数年のうちに市場に出てきたロングライフエンジンオイル。今までは「こまめに交換!」
っていうのがエンジンオイルの常識だっただけに、ロングライフと言っても一体どのくらいで使ってもいいものなのか良くわからないという人も多いはず。

そもそも、どんな状態になったら交換したらいいのか?どうしたらロングライフが可能なのか?というように、
実はロングライフ系のエンジンオイルに対しての情報はまだまだ多くない。

環境問題に厳しいヨーロッパでは、すでに高性能オイルほどロングライフでなければならない、
といった基準を作っているし、メルセデス・アウディ・BMWなどのヨーロッパ車のメーカーはどんどんロングライフ系オイルを採用してきている。

交換時に出る廃油を少なくする事で、環境を守っていこうという考えだ
さて、ロングライフ系オイル、どんな定義を持ってロングライフと言えるのか、岸野さんに聞いてみました。

@ ロングライフの定義


Q:ロングライフ系のオイルがいろいろ出てきていますが、どのくらい使用できてロングライフと呼べる物なのか、その定義みたいなものがあったら教えてください。
A:岸野
現在、自動車メーカーのマニュアル等に書いてあるエンジンオイルの交換サイクルが距離でいう、10,000kmというのが一般的になっています。巷では3,000〜5,000km交換といわれている中で、このメーカーマニュアルの10,000kmは意外に思われるかもしれませんが、確かに現行のエンジンオイルを自動車走行基準である15モードでの走行をした場合は、車種によって若干のばらつきはありますが、10,000kmは使用できると思います。

ただし、エンジンに関する影響を考えますと、実際はいろいろな問題点もでてきます。
ロングライフという定義は何を言うのか?私も考えてみたいと思います。
私の思うロングライフエンジンオイルとは、仮に10,000km使用できたとしても、ほとんどエンジンオイルとしての基本性能が残っていないような物は、たとえその時に使用できたとしてもロングライフとはいえないのではないかと考えます。

使用環境が変わると、10,000km使用できない可能性もありますよね。
そこで私の考えるロングライフエンジンオイルとは、実際は20,000km使用可能であるものを10,000kmで交換するという、エンジンオイルの性能がギリギリでない事こそがロングライフエンジンオイルだと思います。そこで定義は、自動車メーカー交換基準の2倍の仕様限度というのが、私達の考えるロングライフエンジンオイルという事になります。


???自動車メーカーマニュアルの10,000km交換が一つの目安になっていて、条件次第では20,000km可能というのが、ロングライフエンジンオイルの定義、言い換えれば求められる性能ってことと言える。
ところでこのロングライフエンジンオイルって通常のオイルとどこが違うんだろう???

カトちん
オートバイの取扱い説明書をみるとほとんどが6,000km毎。ということは、オートバイは条件次第では12,000km走行可能なオイルがロングライフエンジンオイルということか・・・。
でも、オートバイはクルマと違ってエンジンオイルミッションオイルが同じだから条件的には厳しいよなあ。常時、使っているエンジンの回転数もかなり高いし。


A ロングライフオイルに必要な性能


Q:オイルの中のどんな成分がロングライフを可能にしているのでしょう?
A:岸野
ロングライフに求められる性能は、オイル自体の劣化が遅いことと、オイル自体がスラッジを生まないことです。なぜなら、オイル自体の劣化及びスラッジはオイルの基本性能として一番重要な潤滑性能を妨げるからなんです。
実は、オイルにとってこの劣化とスラッジが一番の致命傷になります。
ですから、ロングライフに必要な成分としては、まずはオイルの劣化を防ぐ良質な添加剤と、そして良質なオイルベース(基油)が必要となるワケです。また、スラッジの原因となる(★)ポリマー(増粘剤)を使用しない事が条件となります。

★ポリマー
粘度指数向上剤としてオイルに添加され、特に高温時の粘度を上げる為に使われる増粘剤。マルチグレードオイルで多く入れられる傾向にあるが、強いせん断力には弱い。さらに燃焼するとスラッジの原因となってしまい、オイルの寿命を縮めてしまう原因となってしまう。

つまり、ロングライフオイルというものは、何か特別な材料をオイルに注入するのではなく、あくまでも、良質な添加剤とベースオイルというように、一般的な高性能オイルの延長線にあるものと考えられるという事だ。ところで、ユーザー側から見ると、どのような状態に劣化するとエンジンオイルを交換したほうがいいのかが、イマイチよく分からないのが本音のところだ。

オイルゲージやオイルウインドウでオイルを見ても物によっては交換後すぐ、黒っぽくなるものもある。ユーザー側からはどういった基準で交換時期を判断したら良いのか聞いてみた。

カトちん
オートバイの取扱説明書にも書いてあるがクルマ専用のオイルは入れないほうがいい。
なぜなら、オイルの成分にクラッチを滑らす恐れのある成分が入っている場合(モリブデン系)があるからだ。
オイルを変えてすぐにそのような症状が出た場合、確認したほうがいい。
(距離の走っている車両は単なるクラッチ板の減りかもしれないぞ)

B ロングライフオイルの交換時期の目安


Q:ユーザー側からみて、どのような状態になったらオイル交換の時期と判断できますか?
A:岸野
非常に難しい事だと思います。まず、オイルの劣化のシステムですが、エンジンオイルは使用しているうちに酸化されてスラッジが生成したり、金属磨耗粉、ゴミ、カーボンなどで汚れてきます。ディーゼルエンジンでは、燃料が燃えた時に発生する亜硫酸ガスがエンジン内の水分と反応して硫酸となり、エンジンオイルに混入してベアリングなどの腐食磨耗を促進します。

このように劣化していくわけですが、エンジンオイルの劣化度具合、つまり交換時期の特定は、一般的に新油に対する油中の劣化成分として全酸価の上昇具合、全塩基価の低下具合、ペンタン不溶分、粘度、引火点、水分及び金属磨耗痕の増加具合で測定しますが、これらは全てオイルを化学的に分析しなければならないので、一般ユーザーには不可能です。

では、どうしたらいいかということですが、やはり距離による交換がユーザーからみると一番合理的な判断基準だと思います。ロングライフオイルを使用して、自動車メーカー通りの距離で交換することだと思います。そして、交換距離を短くするほど、エンジンの状態が良くなって行くわけです。

約10,000kmで無交換OKというロングライフオイル、経済的にも環境的にも優しいエンジンオイルだが、
メンテナンス面で何か注意する事はないのだろうか?

カトちん
スゴイ難しい事がかいてあるなあ(苦笑)。
モトサルゴでは通常は3,000Km毎に交換、1回おきにフィルター交換。
最近の50〜125ccクラスのスクーターは2,000km毎。
特にスクーターでなくてもシングルタイプのエンジンは2,000kmでお願いしてる。
シングルタイプのエンジンは全般にオイル容量が少ない為、距離を走っている車両は特に薦めている。
オイルの消費が少ないオートバイで高性能オイルに銘柄を変えた場合などまず、ミッションタッチが硬くなるまで(信号待ちでニュートラルに入りづらくなるとか・・・オイル容量には充分注意しながら試してもらう)距離を伸ばしてもらう。

たいがい4,000km位でお客さんは”あの〜、まだ硬くならないんですがやっぱり換えてもらえます?”
!!!もったいない(笑) いいオイル入れたんやから(爆) でも、硬くなってから換えたんではもう充分オイルは劣化してるだろうから・・・。

アッシュ/オイル』を入れると確実にオイル交換時期は伸びますよぉ(使用条件,エンジンタイプで異なります)

C オイル量の点検は忘れずに


Q:10,000km〜20,000kmの交換というと、何かメンテナンスフリーのような気がしてとっても便利な
ような気がするんですけど・・・
A:岸野
残念ながら、メンテナンスに関しては通常のオイルと一緒です。エンジンオイルは漏れがなくても一部は燃焼室に入り消費されます。オイルの消費量は運転状態によって大きく左右されますが、一般的には高速運転時やエンジンブレーキ使用時に多く消費されます。乗用車で多い場合には5,000km走行で1L消費する事もあり、オイルの量に関しては他のオイルと同様、定期的な点検が必要となります。

カトちん
その通りですな。確かに高性能オイルはロングライフになったり、フリクション(金属摩擦)の軽減になったりするけど何もしてやらないとエンジンに重大なトラブルが発生してしまう。
普通のオイルでも同様、1,000kmに1回はオイル量ぐらい点検しましょう。
交換時に適正なオイル量を入れたのに極端に減っていた場合は速攻で行き付けのバイク屋に!

最後にココ最近、高性能オイルやロングライフオイルに必ず使われている”エステル”について聞いてみた。

Dエステルの基本性能


Q:エステルって、ロングライフオイルに必ず必要な物ですか?
A:エステルとは、正式名称を「エステル化学合成油」と言います。原料としては植物油になりますね。エステルの大きな特徴としては、一般の鉱物油や石油系合成油と比べると、油膜の付き方に大きな差があります。

一般の鉱物油や石油系合成油はベースオイルの粘度の硬さで強度を出していますが、エステル化学合成油は極性基というものがベースオイルにあるため強力な物理吸着によって油膜の強度を出します。ですから、一般の鉱物油や石油系合成油と比べると、1ランク粘度を下げたものをエステルでは使用できるんです。また、エンジン内部に完全に油膜が出来るので、フリクションロスも低減します。それらの要因から、エンジンレスポンスの向上と燃費の向上を実現させるのが、エステルと言えます。

と言う事は、ロングライフエンジンオイルの基本性能は、スラッジの元となるポリマーを一切使用せず、優れたベースオイルと劣化を防ぐ為の良質な添加剤を使用しているオイルがロングライフを可能とし、さらにエステルを使用することでフリクションロスの低減による燃費向上など、環境面に優しい配慮がなされた物が、真のロングライフオイルと言えよう。

カトちん
最近、高性能オイルには「エステル」と言う言葉がよく使われているがいいことばかりなんですねえ。
いやこれがいい事ばかりではないんです・・・。財布の中身が・・・。
これも考え方によっちゃあローコストになるかも・・・ロングライフだから!
でも、一度高性能オイルを入れると病みつきになりますよ。エンジンレスポンスの向上と燃費の向上がすぐにわかりますから。

おまけその1・・・『ポリマーと添加剤の違いについて』

クルマ・バイク好きにとっては一番身近なアイテムだけに、オイルそのものを基本的なことから知ってもらおうと思います。まず、ポリマー添加剤って、なんとなくイメージは掴めるものの、実際には何の為に必要なのか?ってことを正確に把握している人ってそう多くないようですね。

中には「添加剤を英語で言うとポリマーって言うんでしょう?」
「ベースオイルの中にいろんな成分を混ぜてオイルを造るんだから、
その混ぜる物を称してポリマー又は添加剤って事なんじゃないの。どっちも同じ意味でしょ?」
と、思っている人もいるとか・・。
そこで、岸野さんに聞いてみた。

@ポリマーについて

Q:エンジンオイルの成分でよく聞くポリマーですが、このポリマーってどんな役目を果たすのですか?
A:岸野
ポリマーとは、一般的には粘度指数向上剤といわれるものを示します。役割としては、エンジンオイルが高温になったときに増粘効果を狙う事を目的とした物です。昔は、エンジンオイルはシングルの20番・30番・40番というグレードが存在しました。
ポリマーが開発される前までは、このシングルグレードのオイルを夏と冬と使い分けてきました。
特に北海道などの寒冷地では10Wといったような冬専用グレードが使われる事もありました。
その後、ポリマーが発達してマルチグレードと言われるオイルが出てきました。
いわゆる10W−30とか5W−30といった様に、夏グレードの30番と冬グレードの10Wおよび5Wといった性能を兼ね備えるようになったのです。

当然このようなマルチグレードオイルを造る場合は、ベースオイルには冬用の低粘度の物が使われますので、夏用の性能を兼ね備える為に高温域でもオイル粘度を増粘する必要があります。そのために使われるのがポリマーと呼ばれる増粘剤です。

カトちん
みなさんも聞いた事あるでしょう? OOW−00とか。
この”W”というのは冬用,”winter”の頭文字なんですね。
最近のレースに使われるオイルはどんどん低粘度化しているそうな。
去年の”8耐”ナンかでは’5W−30’とかを使っているチームもあったとか。
4STマルチのレースなんかではそんなオイルを走行毎に換えているとか。
確かにベースオイルの柔らかい物はどんどん流動性が良くなり
(俗に言う”シャバシャバ”というやつやね)
フリクションが少なくなるように思える。
ただ、油膜を保てるかどうか・・・最適なオイルを見つけるには難しそうやね!
まあ確実なのは、いいオイルを使う事と頻繁に変えることがエンジンとってもいいのだが・・・。

Aポリマーのメリット


Q:そのポリマーですが、エンジンオイルポリマーを使用するメリットと言うのはどんな事ですか?
A:岸野
それは、低粘度のベースオイルを使用して高温域での粘度を高く設定できます。
例えば、0W−50・0W−40というようなエンジンオイルは、ポリマー無しには造れません。
このような粘度域の広いオイルを造る時に必要になります。

Bポリマーのデメリット

Q:逆に、最近高性能オイルのほとんどが「ノーポリマー」と謳うように、
ポリマーを使用していないことがメリットになるというオイルが増えてきていますが、
ポリマーを使用することで生じるデメリットを教えてください。
A:岸野
ポリマーは、PMA・OCPなどと呼ばれる樹脂を原料として作られています。
そしてこれらが新油のときは安定した状態なので問題ないですが、クランクシャフトやカムシャフトのところで油膜を切ろうとする力に遭ったときに、樹脂が切られていきます。

その切られた樹脂が実はスラッジになるのです。
ですから、ポリマーを使用するとスラッジが生まれやすくなるデメリットがあります。
このスラッジが蓄積する事により、エンジンの磨耗を促進させるばかりではなく、
場合によっては潤滑する為のラインが詰まり潤滑不良を起こしてエンジンが焼き付いてしまう事さえあります。また、オイル粘度が変化してしまう事で摩擦損失が増大し、エンジン始動不良、燃焼悪化につながります。

C添加剤について


Q:一方の添加剤というのはどういたものでしょうか?
A:岸野
添加剤というのは一般に皆さんがイメージするのは、300cc位のビンであとからエンジンに注入するイメージが強いと思います。確かにそれも添加剤といいますが、ココで言う添加剤とは、
DIパッケージと言ってエンジンオイルが、SJ・SLなどの規格を表示するのに必要な性能を備えた物を言います。

具体的にどのような効果といいますと、清浄性(エンジンの中に汚れがたまらない為の石鹸のような効果)、分散性(燃料のカーボン及びスラッジなどが固まらないようにほぐす効果)、酸化防止性(エンジンオイルの酸化を防止して長期間使えるようにする効果)、さび止め性(エンジンが錆びないようにする効果)、以上の様な効果を兼ね備えた物をここで言う添加剤になります。

D添加剤のメリット

Q:添加剤オイルに配合する一番のメリットは何ですか?
A:岸野
添加剤エンジンオイルを長く使用するために必要不可欠なものです。
エンジンオイルの一般走行するのに最低限必要な性能はすべて入っている事が最大のメリットです。

E添加剤のデメリット

Q:では、添加剤を使う事でのデメリットはありますか?
A:岸野
添加剤を規定量添加して使用した場合は特にデメリットはありません。しかし、規定量以上入れると触媒の寿命を短くしたり、
エンジンオイルの酸化を早めてしまったりする逆効果が起こるデメリットがあります。

F添加剤の種類

Q:その添加剤ですがどのくらい種類があるのですか?
A:岸野
細かい部分まで分けていくと100種類以上の添加剤があります。
ベースオイルに対して、それぞれの目的に応じた添加剤が必要となるわけです。

Gポリマーを使わずにマルチグレードを作るには

Q:ところで、マルチグレードタイプのオイルを作るためにはポリマーが必要になるわけですが、
実際には「ノーポリマー」を謳っているオイルのほとんどがマルチグレードタイプです。
ポリマーを使用せず、どのようにマルチグレードを作るんですか?
A:岸野
じつは、ポリマーを使わなくてもマルチグレードオイルは作れるのです。
ただしこの場合、ベースオイルは100%化学合成油となります。また、
作れる粘度グレードも限界があります。

私の認識しているノーポリマーで作るのが不可能な粘度グレードとしては、
0W−40・5W−50又は、これ以上に粘度範囲を広げたグレードだと思います。
そして、ノーポリマーでマルチグレードを作るための秘訣は、
なんと言ってもベースオイルの種類を数多く知っているかと、その処方を組む技術になります。
また、ポリマーを使っている場合と比べ、ノーポリマーは原価が非常に高くつきます。
ただしその分、油膜の強度は格段に違います。
ですからノーポリマーで作るオイルはどうしても高級品になってしまう欠点もあります。

カトちん
またまた、むずかしいハナシでんなあ。
こだわりを感じるでしょう?
そして、知っている事は発見する事でもある。今まではオイル交換もバイク屋さんの薦めるオイルだけを入れていたと思うがここまで、又これから読む事により少しは違った視点から”オイル”について考えられるのではないだろうか?
なんせ、オイルエンジンの”血液”だから・・・

おまけその2・・・『ベースオイルの種類と特徴』

クルマのメンテナンスで一番身近でしかも重要なのが、オイル交換。
どれだけ優れたエンジンオイルでも、肝心のオイルが汚れていたり性能が劣っていたら、
そのエンジンのパフォーマンスを十分に発揮することは出来ないですよね。

そればかりじゃなく、オイルメンテナンスを怠ると、最悪、エンジンブローを招いてしまうほど、
オイルはクルマにとって重要なアイテムです。エンジンを心臓(人に)にたとえるならエンジンオイルは血液。その血液が汚れていたり成分バランスが崩れていたりすると、病気になりやすいのと一緒で実はクルマにとっても最重要メンテナンスアイテムなのだ。

そのオイルを基礎的な部分から解説しそれぞれ自分のクルマに合った’オイル選び’のヒントとして役立ててもらおうというのがこのコラムの目的です。
現在、鉱物油・半化学合成油・化学合成油と大きく3種類に分かれているオイルだが、
それぞれの特徴や長所・短所を、JCDプロダクツの岸野 修さんに話を伺ってみた。

●鉱物油とは?

鉱物油とは、石油を分留(石油を沸かして沸点の低いものから順にガスの状態になったものを
取り出していくこと)して得られたベースオイルのことをいいます。
この場合、ベースオイルとなる部分はがすにならず残さ油としてアスファルトと一緒に残ります。
それを溶剤精製・水素化精製などでで出来上がったものが、鉱物油のベースオイルとなります。

●オレフィンオリゴマー(炭化水素系合成油)とは?

ナフサを原料として分解して得たエチレンガスを融合して作る方法と、
石油ワックスを分解して作る方法があります。
これらがポリアルファオレフィンと呼ばれる炭化水素系合成油となります。

●VHVIとは?

VHVIとは、高粘度指数基油(40℃シーと100℃の硬さの変化のが少ないオイルのこと)
のことを言います。一般的に鉱物油を分解して作られます。
これも現在は合成油と呼ばれるようになりました。

●ジエステル及びポリオールエステルとは?

エステル化学合成油とは、分子中にあるエステル基の結合構造からエステルと呼ばれています。
これらのエステルは植物油膜及び動物油膜とアルコールを原料として作られます。


★ベースオイルの種類と粘度(ベースオイルは5種類に大別されます)★


1)鉱物油
2)オレフィンオリゴマー(炭化水素系合成油)
3)VHVI(高粘度指数基油)
4)ジエステル(エステル化学合成油)
5)ポリオールエステル(エステル化学合成油)

種類 動粘度 粘度指数 流動点 耐熱度
    (mm2/s or cst) (VI) (℃)
鉱物油 2〜40 90〜105 -10〜-20 2
オレフィンオリゴマー
(炭化水素系合成油)
2〜130 120〜180 -30〜-80 3
VHVI
(高粘度指数基油)
2〜8 100〜130 -15〜-45 3
ジエステル
(エステル化学合成油)
2〜6 110〜190 -40〜-80 2
ポリオールエステル
(エステル化学合成油)
2〜10 60〜190 -15〜-80 3

<用語解説>

動粘度(100℃) mm2/s or cst

動粘度とは、液体が動力方向に流れ落ちる時の速さの事で、液体の粘りを定義します。
どのオイルにも40℃の時(エンジンが冷えている時の状態)の粘度と
100℃の時(エンジンが暖まっている時の状態)の粘度が書かれています。
そして、エンジンが温まっている100℃の状態の時、数値が大きければ粘りが強く、
逆に小さければ粘りが少ないと言うことになります。

粘度紙数 VI

オイル粘度が、温度変化によってどのくらい変化するかを数値に表したもので、
粘度指数が大きいほど温度が上昇しても、粘度変化が少ないことを示し
品質が優れていることをなります。

流動点

オイルは低温になるとオイルに含まれるロウ分が結晶化し、
更に冷えていくと最後には固まってしまいます。
流動点
とは、低温に対してここまでならオイルが固まらないと言う温度を表しています。
オイルを冷却した時に、オイルが流動する最低の温度が流動点です。
寒冷地など外気温が低い地域でのコールドスタート時などに影響してきます。


★鉱物油・半化学合成油・100%炭化水素系化学合成油・VHVI合成油・
  100%エステル化学合成油の長所と短所



■鉱物油


石油をて分留した得たベースオイルを100%使用したオイルのことを言います。
長所:ゴムのオイルシールなどに対して悪影響を与えない事と、コストが安いことです。
短所:低温特性が悪いことと耐熱性があまりよくないことです。

■半化学合成油


鉱物油と合成油と半々で使用したオイルのことを言います。
長所:鉱物油に対して合成油を使用した分低温特性及び耐熱性の性能を少し改善できることです。
短所:処方によっては性能がほとんど上がらず無駄にコストを上げてしまうことです。

■100%炭化水素系化学合成油


一般的に、100%化学合成油と言ったらポリアルファオレフィンとエステルを約8:2で混ぜて作った合成油のことを言います。
長所:低温特性が良い事と耐熱性が良い事です。
短所:ゴムのオイルシールに対して炭化水素系合成油は縮め、エステルは伸びる影響を与えます。ですから約8:2で混ぜて使わなくてはなりません。また、鉱物油に比べてコストが高いと言う点もあります。

■100%エステル化学合成油(フルエステル)


エステル化学合成油を100%使用して作ったオイルの事を言います。
長所:低温特性及び耐熱性が良い事と、鉱物油・炭化水素系合成油に比べ、ずば抜けた潤滑性能を示します。その理由として通常、鉱物油及び炭化水素系合成油はオイルの硬さで油膜粘度を出すのですが、エステル化学合成油は極性と言って電気的に物理吸着します。早い話が、オイルにこびり付く!と言うイメージをしてください。

短所:ベースオイルの選び方が非常に難しいことです。よく調べないで使用するとオイルシールを伸ばしたり、加水分解といって水分にによってオイルが分解されやすい物があります。また、炭化水素系合成油より更に、コストが高いことです。


カトちん
昔は植物油と言うのもあった。代表的なところでは2サイクルエンジンの混合オイル、カストロールA747。開封後はなるべく早く使用してください、と言うまるで生物の食料品みたいなオイルだった(笑)。

この頃誰か忘れたけど、パドックで寝泊りしている時、食事もパドックでケータリングみたいなこと(そんなに大げさではないが)をしているンだけどバーベQをするのに脂を買うのを忘れたらしく、その時にA747を使って食べたけど意外と美味しかったと・・・。ホンマやったんかなあ??? けど、いくら開封後は早めに・・・といってもねえ・・・。

おまけその3・・・『ベースオイルの劣化のメカニズム 〜なぜオイルは劣化するのか〜

オイル交換を長期間行わないでオイルを使っていると、添加剤の消耗,熱や空気による酸化,混入物による汚れ、等が起きてベースオイルが劣化していきます。

更に劣化が進むと、オイルがどろどろに固まりオイルの潤滑不良による金属の異常磨耗と溶着やスラッジがピストンリング廻りに堆積してしまうため、ピストンリングの膠着などを引き起こす原因となってします。劣化したオイルを使いつづけていると、パワーダウンや燃費の悪化だけではなく、最悪の場合、エンジンブローに結びついてしまうのだ。

もちろん、オイルを定期的に交換することでこういったトラブルを防ぐことが出来るが、難しいのがオイル交換のタイミング。先に書いた走行距離による交換が原則なのだが、クルマの用途によっては、例えば、サーキット走行毎に交換,3,000kmで交換,5,000kmで交換,ロングライフ系なら10,000kmで交換、といったように使用条件や使用オイルによってその目安は様々。

また、例えば街乗りオンリーだとしても、エンジンが完全に暖まらない状態での使用が多い場合は、エンジンオイル内の結露した水分が抜けきれず、使用するオイルの種類によってはエンジンが暖まりきって使用している時よりもスラッジが多く発生してしまうこともある。

距離を走らないクルマの場合でも、使用条件によってはオイルの劣化を進めてしまうこともあるのだ。
オイルの劣化は実際には、緩やか進行するため一般的なドライバー・ライダーにはなかなか判断するところが難しいところ。オイルの汚れやエンジンのフィーリングで判断するのもひとつの方法だが、それでもオイル劣化を分析無しで判断する方法は困難だ。

@エンジンオイルの酸化劣化及びスラッジの生成


エンジンオイルの酸化劣化の原因は、高温によるベースオイルの酸化及び燃料が燃焼した時に起きる窒素酸化物(NOx)の影響によるオイルの酸化が主となります。そしてこれらの現象を具体的に言いますと、燃焼室付近でのシリンダー及びピストンにおいてのオイルは、かなり高温にさらされます。例えば、シリンダーの壁面は役340℃と言われます。

ですから、高温による酸化というのはこの辺りから起きてくるわけです。また、オイルパンの中では燃焼室から漏れるブローバイガス(これに燃料が燃焼したときに起きる窒素酸化物が混じってます)による酸化が起きてくるわけです。そして、酸化劣化が促進されると酸化生成物の宿重合反応というのが起きて、スラッジの生成,ワニスの生成,オイルの酸化による粘度の上昇が起きるのです。

A乳化


エンジンの燃焼には,炭化水素というものが使われます。いわゆる、ガソリン,経由,LPG等、これらは全て炭化水素の仲間になります。そして、炭化水素が燃焼するとCO2(二酸化炭素)とH2O(水)が生成されます。そうするとこれらの物がブローバイガスと混ざって燃焼室から出てきます。

そのガスの中の水分が高温の状態では水蒸気となって浮遊しているわけです。また、ベースオイル自体にも水素を含むため、オイルが高温にさらされて酸化が起きるとベースオイルの水素が酸化して水蒸気となり浮遊します。これらが今度冷えた時に水としてエンジンオイルに混入してくるのです。これらの現象が促進することにより乳化が起きてくるわけです。


●走行距離の少ないクルマの交換時期


Q:走行距離に応じて定期的にオイル交換するのがオイル管理の基本なのだけれども、問題は走行距離の少ないクルマの場合。
毎日通勤で使っているクルマの場合だと走行距離をオイル交換の目安にすることが出来るけど、たまの休日のドライブに使うと言った使い方だと、ヘタすると年間5,000kmに満たないと言ったような場合がある。
また、使用するオイルのタイプによっても使い方は様々。
こういったケースの場合、オイル交換の時期の目安はどう考えたらいいんでしょう?

A:岸野
走行距離の少ないクルマのオイル交換時期ですが、これは走行距離よりも使用するオイルの種類によって変わると思ったほうが良いでしょう。鉱物油の安いオイルであれば半年ぐらいを目安にしてください。一般的な合成油であれば2年ぐらいは大丈夫でしょう。

ということで、たまにしか乗らないような、年間の走行距離が少ないほど実は高性能オイルを入れていた方が、メンテナンスが楽になると言うことです。

●銘柄の違うオイルのブレンド


Q:同じ銘柄のオイルをブレンドすることによって、エンジンにぴったりのオイルを作り出すと言う方法はあるが、銘柄の違うオイル同士のブレンドはどうなんだろう?

例えば、サーキット走行でオイル量が少なくなった時や、街のりの場合でも突然油圧の警告ランプが点く場合がある。そんな時に普段から使っているオイルの銘柄と同じストックが販売店にあればいいが、それが手に入らない場合はやむなく違う銘柄のオイルをブレンドするケースもあるだろう。

最近では様々なタイプのオイルが市場に出回っているが、実際に違う銘柄のオイルをブレンドするのはエンジンにとって問題ないだろうか?
A:岸野
製品同士のブレンドになるわけですが、これに一番問題になるのは化学合成,鉱物油,エステル化学合成油,半化学合成油等というよりも、オイルの処方によるところが大きいと思います。
具体的に言うと、添加剤とポリマーが違うタイプの同士のオイルをブレンドすると、分離したり固まったりすることがあります。ただし、基本的には製品同士のブレンドすることは全体のバランスが悪くなり性能の低下につながることが多いのであまりお勧めいたしません。

特に、一般的に違うタイプのオイルをブレンドした場合は、
性能の低いオイルに引っ張られる傾向があります。


カトちん
ここではよっぽど成分の違うオイルを半々、ブレンドして交換用オイルに使用するような極端な使い方をする事、と俺は考えます。(そんなことする人おれへんと思うけど)
オイル交換するときにドレンボルトをはずしてオイルを抜いても100cc〜200ccは絶対にエンジンの中に残っている。エンジン全バラでもしない限り完全交換は不可能です。

だけど、お客さんにせっかく高性能オイルを入れてもらえるんだからモトサルゴでは少し出費になるが、エンジンのフラッシング、オイルフィルターの交換もお勧めしている。

■余ったオイルの保管


Q:オイル交換のときに余ったオイル、どうしてます?
サーキットやスポーツ走行派なら、補充用オイルとして使用すればOKなんだけど、問題は街乗り派の場合。
「一度蓋を開けてしまったオイルって、空気と触れるからやっぱり酸化してしまうのでは?」と言うように、次回のオイル交換まで保管しないという人も少なくない。

オイルの賞味期限!?というのもなかなか微妙・・・。同じオイルでもやっぱり古い缶より新しい缶のほうが(俗に言う製造年月日のことね)性能がいいって思っている人も多いのでは?余ったオイルってどうしたらいいんですか?やっぱり捨てるだけ?

A:岸野
一度蓋を開けた缶にオイルについてですが、きっちりと蓋を閉めている保管状態なら5年間は大丈夫だと思います。エンジンオイルの中には酸化防止剤及び、乳化防止剤が入っています。保管状態が悪くなければ腐るものではないので大丈夫です。

ということで、余ったオイルの再使用は、
キチンと蓋をして温度変化の少ない場所に保管すればまったく問題無しのこと。

カトちん
以前、モトサルゴで使用していたオイルの中にしばらく使っていなかった(と言っても半年ぐらい)オイルが水あめ状に変化していたことがあった。また、ほかの販売店でも同じようなことがあった。その時、オイルでも腐んねんなあ、と話していたことがある。きちっと蓋を閉めていたつもりだったのだが・・・。

そういえば、レース現役時代、A747(植物油)を使っている時は蓋の内側にビニールをかぶせて詮をしていたなあ。それほど保管状態を気にしてました。まあ、今の合成油ならそんなことする必要はないと思うけど、念には念を入れといたほうがいいでしょう。ましてや、5年間もオイル交換をしない人はおれへんやろうし・・・。

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