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2005年11月13日

ある日の出来事 <p>

先週のレースに向けて、カトちんの仕事は慌しくなっていた。

通常のお預かりしている修理や整備に加え、
自分がレースに出るためのバイクの整備。

モトルネに出ることは、

「HHRの店主の全員エントリー」

という話から始まった。


カトちんは悩んでいた。

---- お客さんと楽しみたい

---- 自分自身のレースの取組み方をみんなに感じて欲しい。

---- みんなと、同じようなクラスにエントリーできないか…


カトちんは、悩みぬいて 現役時代の仲間「SBSホクブ」さんに
’98 GSX-R750の貸出をお願いした。

「SBSホクブ」さんは快諾してくださって
エントリーすることになった。


私自身は、どうしてそこまでしてエントリーしたいのか
はじめは理解できなかった。


ここ数年、「250SB」で『ターミネーターズ』や『モタードレース』
に参加してきたので、大排気量のバイクでレースに出るのは久しぶりのこと…

その上、走行会で乗ったことはあるにせよ、お借りするR-750は
レース仕様にはなっていないし、この目の前にあるR-750は
熟知した車両ではない。

このバイクでの練習はできないのも同然。

でも、カトちんはレースに出ること、バイクに乗ることを
とても楽しみにしている。


   手放しで応援してやりたい…


とは思うものの、なかなかR-750に手を付けることが
できないまま出発まであと3日となった時、私の心配病は爆発してしまった。


五体満足で現役生活を終え、バイクの仕事をはじめて
ガムシャラに仕事をしてきた。


でも、私の頭の中からは現役時代のことは消えていない。

   『レースとは、こういうもの』

…という確信とは言えないにしても
その期間の中に、いろいろな事を体験してしまった。


自分でほどこす事のできる最大の安全性を
バイクにも人にもほどこさなければいけない。


私達の仕事は、街中で乗るバイクであっても
その気持ちは同じではあるが、アベレージスピードの違う
サーキットではまた違う思いもある。


ましてや、レースとなるとバイクに跨る人間に
スイッチが入ってしまうと人は止められなくなる…


   3日前になっても、自分のバイクの事していない…
   仕事が終わらないのはわかるけど…睡眠もロクに取れてない。
   その上、久しぶりのビックバイクでのレース。


と思うと、心配は不安に変わって超ナーバスになってしまった。


    レース…レース…レース…レース…


見ていて不安を感じて、カトちんに


     「もう、やめといたら…」


と、言ってしまった。


バイクについては、知り尽くしている自分の車両でも何かのきっかけから
トラブルになってしまうことも起こったりするレース。
マシントラブルでレースを離脱してしまう事だってあるし、転倒を招くこともある。
基本的に、自分のバイクの状態は把握しておかないといけない。


 最善をほどこしても、何が起こるかわからないというのがレースであり、
 それでもできる限り最善をほどこし、最善を尽くすのがそれに対する姿勢
 であると私はずっと思っている。


最善を何とか尽くそうとしているカトちんに対して
「やめといたら…」という言葉に逆に説教された。

  レースは、ビックバイクだろうが4st-Miniだろうが
  全日本だろうがイベントレースだろうが危険性はみんな同じや!
  同じ姿勢で取り組まんとあかんやろ!
  
     お前レースやってきて、それもわからんのか!

  その姿勢をみんなに見てもらうために俺はやろうと思ってるんや!
  
  町乗りだろうが、レースだろうが、ちゃんとできてないバイクが
  危ないのはお前にも解るやろ!

  俺がなんでバイクの仕事してると思ってんねん!!!!

私は、ハッっとさせられてしまった。
レースだろうが、町乗りだろうが、カトちんのバイクに対する姿勢が
よくわかったような気がした。


    「えらいことゆーてしもた…」


…と、なんともいえない気持ちになってしまった。


翌日、カトちんは


   「心配するのはわかる、でも今回は出るぞ」


私もカトちんのバイクに対するポリシーみたいなものを
改めて感じ取って、心配病は少し薄らいだ。


まぁ、心配病は完治しないとは思うけど…

投稿者 kato : 2005年11月13日 23:10